だから匿名の対義語は記名だと何度言えば

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ユニクロ柳井会長をもってしても、うっかり匿名の対義語を実名といってしまうこの状況を早くどうにかしないと。

「Facebookは個人対個人で、しかも匿名でなく実名。これは責任を取れる情報をお互いに交換するということ。それが可能なのは、いまだとFacebookが一番」と柳井氏は語った。
(from 「ネットの匿名は信用できない」–ユニクロ柳井会長がFacebookを選んだ理由 )

だいたい、”それ”が実名だって誰が証明したんだと。免許証のコピーを提出させて確認してるとか、クレジットカードで認証して本人と見なしているとか、せめてそんくらいはやってくれないと。
(というか、そもそもFacebookは実名をお願いしているSNSでしかなくて、実名の仕組みがプラットフォームとして提供されているSNSではないから、Facebookは実名だし、とかいうのを前提にしているのは痛いと思うが…。記名なので責任を伴っている、というのであれば、まあわかる)

勝間和代にいわせれば、本当に戸籍名かどうかは知らんがとにかくファーストネームとラストネームがあれば実名だというのだからどうしようもない(真の意味で実名かどうかという議論は別に置かれてしまっている)。

勝間 で、実際その悪いことに対して、たとえば、私がやってるクロストークというコーナーでは、基本的に新聞に対する言論ということで、実名、もちろんそれが本当に戸籍名なのかどうかという議論はありますけども、ま、ファーストネームとラストネームをきっちり書くようなかたちでお願いしてるんですよ。
(from 勝間×ひろゆき対談 文字起こし )

これは、山田太郎って全員が書いたらどうするんだっていう話には全く反論できない程度の発想でしかない。

そもそも、匿名の対義語は記名であって実名ではない。記名が必要なのであって、実名が必要かどうかは次の段階の話。つまりニックネームでも何でもいいから、何らかの固有性のある文字列(ID)を各自が持っているかっていうことであり。たとえばTwitterのアカウントなんかは、ほとんどの人が実名をローマ字表記したものではなく、何らかの文字列として使っているだろうが、その文字列はもはや人格を伴っているといってよく、個体が特定できる以上は匿名ではない。捨てアカウント的な運用をしている人も当然いるだろうが、そうであっても特定できる以上は匿名ではない。(ちなみにここでの特定というのは住所が云々とかではない。) そして、捨てアカじゃない以上は、自分の人格を伴ったそのアカウントを名乗って無責任な言いっぱなしとか(極論すれば犯罪的な行為とか)を堂々とやる可能性なんてほとんどないといえるだろう。普段遣いしてるアカウントであればあるほど。

2chのように、意図して個体の判別をしがたくしており、自発的に特定可能にしないことには個体の特定が難しいという状況下においては、個人は匿名性を保っているといえる。(ここでの特定も同様に住所が云々とかではない。) 匿名性がこのように高い場合は、そこで見え隠れする人格が誰に紐づいたものであるかを傍目に判別しづらいため、ようは、誰が言ってるかわかんないから言っちゃえ的な感じで、わりと言葉づかいが汚くなるとか、ストレートすぎる表現をするだとかの傾向があるといえるだろう。

実名支持の論調は、おおむね「その個体が発信した情報が責任を伴っているかどうか」という観点での信頼性みたいなあたりだが、それを担保するのは実名ではなく記名。その記名が本当に実名であるかどうかよりも、その記名がIDとして機能しているかどうかのほうが重要なわけだが、しくみとしては、その記名を長く愛用したい(自分の人格性を大いに伴わせたい)という状況をどう提供するかだろう。ポイントがたまるみたいなインセンティブでももちろん良いし、そのアカウントがあることで何らかの地位が得られるとかでもいいだろうし。その時、そのアカウント名が実名かどうかは関係がない(もちろん実名でも良いが、多くのネットサービスにおいて真の意味で実名であることを証明させるコストはかなり高いし、リスクも格段に上がるだろう)。

とにかく匿名の対義語は記名だということに気づいてほしい、偉い人たちには。
実名と比較して議論するならば、偽名か実名かという議論になるはずだ。

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